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恩田陸『木洩れ日に泳ぐ魚』読了めも

恩田陸

 

恩田陸『木洩れ日に泳ぐ魚』文春文庫(2010)

※単行本は2007年発行

 

10年前の小説ですが、偶然読む機会があったので自己満の読了メモです。
※軽いネタバレです。

 

恩田陸さんの小説といえば、登場人物の繊細な心理描写が特徴的ですよね。

この小説も、そんな丁寧な描写と、全体のスリリングな展開が相俟ったお話となっていました。

 

どんな話?

本小説の主な登場人物は、ヒロとアキと呼び合う男女2人

同じアパートから別の場所に引っ越す様子から物語は始まります。
部屋を出て行く最後の夜で、妙な緊張感があり、

“ある人をどちらかが殺した”

という互いへの疑念を晴らすという目的から話は進んでいきます。

ある人物が亡くなった事件の当日のことを
2人で思い出していく内に、2人の関係の秘密も明らかになっていきます。

先が気になって、本をめくる手が止まらなくなりました!

 

アキ(女性)の心境変化

私がこの話で好きなのは、アキの心境の変化です。

アキは最初、ヒロへの未練が大きかったのですが、
どんどん冷静になり、ヒロへの気持ちも客観的に見れるようになっていきます。

一方でヒロは、徐々に冷静さを失い、感情を爆発させる場面も。

部屋の中で過去のことを思い出していたのが、
最後の場面では一人で外に出て、
いつも見ていた風景から2人で暮らした部屋を眺めます。

重く苦しい夜が明け、
朝焼けの清々しい空気が伝わってくるようでした。

アキが前向きにこれからの人生を歩んでいくという兆しが感じられて、
とても好きなシーンです。




恩田陸作品の魅力

恩田陸作品では、真相が全て明らかにならないことが多いんです。

登場人物たちの対話の中で、
「おそらくこうなんじゃないか?」という推測に至っても、
結局明らかにはならない。

それは、真相が明らかになることが重要ではないからだと思います。

真相が明らかにならない事で苛立つヒロと、
自分なりに過去に決着をつけ、未来へと進むアキ。

過去が明らかになるごとに移ろっていく
2人心境変化の描写は本当に見事でした!(何様)

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主に関東圏の美術の展覧会や、演劇、イベントに足を運び感想をかきます!! アート業界の端の端のクズの一片です。 基本的にネガティブ。 芸術・文化・地域政策の本を読んだ感想メモも追加したいと思っています!

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